例示専用のIPアドレスとドメインを使いこなす
前回の記事ではネットワークに関する記事を投稿させていただいたが、今回も引き続きネットワーク関連のネタを記事にしたいと思う。
ブログの記事やネットワーク関連のドキュメントを書いているとIPアドレスやドメインを記載する場面に遭遇する。適当なIPやドメインを記載してしまうと、(プライベートIPならまだしも)実際に利用されているIPやドメインと衝突してしまう可能性が高い。
こんな場面に備えて、例示を目的としたIPアドレスやドメインがRFCによって定められているのだ。 ドメインについては割と有名だが、IPについては知らない方が多いように見受けられたので、今回の記事ではこの例示用のIPアドレスについて(ついでにドメインも)記載していく。
例示用IPアドレス
IPv4での例示用IP
IPv4での例示を目的としたIPアドレスは2014/6/10時点でRFC5737 [IPv4 Address Blocks Reserved for Documentation]に記載されており、以下のネットワーク属するIPを例示することができる。以下のIPは例示専用のため衝突の心配が無い。
198.51.100.0/24
203.0.113.0/24
ご覧の通り、プライベートIPアドレスではなく、専用のネットワークが設けられていることが分かる。 また、特殊な用途のIPアドレス範囲を記載したRFC6890のPage.9、11にも例示用として上記IPについて述べられている。なお、例示用IPを探すとRFC3330やRFC5735が見つかる場合があるが、これらのRFCはRFC6890によってobsolateされているため、最新版であるRFC6890を参照しよう。
IPv6での例示用IP
一方、IPv6での例示用IPアドレスは、RFC3849 [IPv6 Address Prefix Reserved for Documentation]に記載されている。IPv6については以下のネットワークに属するIPを例示可能だ。
こちらのIPもIPv4と同様にRFC6890のPage.17に例示用IPアドレスとして言及されている。
例示用ドメイン
次に例示用のドメインを見ていこう。こちらはご存じの方が多いのではないだろうか。 例示用のドメインはRFC2606 [Reserved Top Level DNS Names]に記載されいている。
例示可能なトップレベルドメイン
以下のTLDは例示用として利用可能だ。実際に例示する場合は、TLDに続くSLDを自由に設定したうえで利用しよう。
.example
.invalid
.localhost
ただし、上記ドメインのうち例示として利用するのは通常「.example」のみである。RFCにも記載されているが、「.test」は主にテスト用途ドメイン、「.invalid」は無効であることを明示するためのドメイン、「.localhost」は伝統的に予約されているドメインとなっており、例示用途とはなっていない。
例示可能なセカンドレベルドメイン
RFCでは、以下のSLDを例示可能としている。
example.net
example.org
ここでは、例示用のSLDについてもう少し突っ込んで考えてみる。
例示用セカンドレベルドメインを持つホストはインターネット上に存在するか?
実は存在する。上記のSLDはICANNによって取得済である。
例示用のSLDは開放済のTLD(「.com」「.net」「.org」)にぶら下がる訳だから、ICANNが先立って予約してしまっているということだ。
という事で以下のURLにアクセスすると、ICANNによって用意された例示用のドメインである事を示すページが表示される。
http://example.com
http://example.net
http://example.org
例示用セカンドレベルドメインのトップレベルドメインは何故「.com」「.net」「.org」なのか?
詳細な経緯は不明だが、おそらく歴史的に最も古くから存在し、かつ最も利用されているドメインであることが挙げられるだろう。また、「.com」「.net」「.org」はかつてIANAではなくNetwork Solution社によって管理されていたTLDである。この点も関係しているかもしれない。
簡単ではあるが例示用のIPとドメインを列挙させていただいた。IPやドメインを例示する機会があれば是非利用していただきたい。知っている人が見ると「おっ、こいつ分かってるな!」となること請け合いだ!
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